医療費控除について①
1月は源泉税の納期の特例・法定調書作成・償却資産税申告などがあり、あわただしい時期になりました。
2月16日からは所得税確定申告が開始しますが、確定申告書を提出する義務のない人については、確定申告の時期(2/16~3/15)でなくてもその年の翌年1月1日から5年間、還付申告することができます。当事務所では医療費控除のみの還付申告も受け付けていますので、お気軽にお問い合わせくださいね。
さて今日は「所得税の医療費控除」の間違いやすいポイントについてまとめてみました。(介護に伴う医療費控除については、後日、「医療費控除について②」でまとめます。)
<支出した医療費の判定>
支出した医療費は「現金主義」で、本年分なのか翌年分なのかを判定します。例えば、入院したのが今年でも実際に病院に入院代を支払ったのが翌年になるような場合の医療費は本年分ではなく、翌年分の医療費に含まれます。
<医療費を補填する保険金等>
1.保険金等は収支対応医療費を補填するために受け取る保険等は「収支対応」です。つまり、保険金等を受け取るのが翌年でも、今年の医療費に対応している場合は差し引く必要があります。
- 12月分の「高額療養費」が3月に支給されるような場合で確定申告期限に間に合わないような場合は、その見積額を差し引く必要があります。
- 年をまたいで支払った医療費を補填する保険金等は、支払った医療費の金額に応じて各年分に按分して差し引きます。
- 高額介護合算療養費は、支給額の確定日(通常は7/31)の年の医療費から控除します。
2.支払った医療費を超えて受け取った保険金等は、他の疾病の医療費から差し引く必要はありません。(個別対応)
3.がん診断給付金支払った医療費の金額から差し引く必要はありません。また受け取ったがん診断給付金は、所得税において非課税と規定されています。(所得税法施行令第30条)
4.生計一の親族についての医療費は支払った本人が医療費控除を受けることができます。 共働きの夫婦の場合で、例えば夫が出産費用について医療費控除を受ける場合で出産育児一時金は妻が受け取っているような場合、夫の医療費控除の対象となった支出から差し引く必要がありますので注意が必要です。(医療費を補填する保険金等は受取名義人が特定されていないためです。)
<医薬品の購入>
- 治療又は療養に必要な医薬品に限り、医療費控除の対象になります。
- 医療費控除とセルフメディケーション税制はいずれかを選択できますが、申告後は変更できません。
<骨折した場合の松葉杖の購入費用>
- 治療を受けるために直接必要な医療器具と認められれば、医療費控除を受けることができます。
- 事故により負傷し日常的に使用する場合、医療費控除の対象にはなりません。
<入院に伴う費用>
- 寝間着等(身の回り品)の購入代金・クリーニング代は、医療費控除の対象にはなりません。
- 入院に伴う食事代で、部屋代とともに病院に支払うものは医療費控除の対象になります。
<交通費>
人的役務の提供の対価のみ医療費控除の対象になります。(電車代・バス代・タクシー代など)
- マイカーのガソリン代・駐車場代は、医療費控除の対象にはなりません。
- 一人で通院できない子供の付添人の交通費は、医療費控除の対象になります。
<その他>
- その親族が扶養控除の対象になっているかは関係なく、生計一の親族の医療費を支払った場合は医療費控除を受けることが出来ます。
- 生計一の判定は医療費の支出があった時点で判定します。
- 海外旅行中の治療費も医療費控除の対象になります。(その場合、外国為替の電信買相場により円換算します。)